癌との闘いと医療について - 食道癌闘病記と患者側からの一私見

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2008.02/12(Tue)

11. 術後補助抗癌剤治療 

退院後2週間ほど経った昨年の4月上旬、彼女は担当医の外来診察と採血・胸部レントゲン検査を受けた。

術後の病理検査の結果は44個採取したリンパ節の内、1個転移があったと言われたので予後はかなり期待できるのではと内心思ったが、根治的CRT(ケモラジ)も術前にやっているので油断はできないとのコメントであった。
術前のCRTを行う前の国立がんセンター東病院の診断はステージⅢだったが、サルベージ手術後の病理ではT4N1M0のステージⅣaとなったので、CRTの効果が無かったどころか進行させていたのではとも感じさせる結果となったのである。

外来を受けた後、1週間もしないうちに胃管(たぶん吻合部)のつまりがひどいと本人が訴えるので、順天堂医院に出向き内視鏡で調べたところ、特に拡張の必要を認めずということで処置はされなかった。
この食べ物のつまり感というのは、程度の差はあれ1昨年の秋に始まり東病院でのCRT後も順天堂での術前術後経て現在に至るまでずっと続いているが、このことが他の食道癌に罹患した方々と同様に彼女を最も憂鬱にさせていることであろうと思う。

さて、昨年5月中旬、退院前に予告されていた術後補助抗癌剤治療のため順天堂医院に再度入院した。

ところで、日本癌治療学会の「がん診療ガイドライン」では、食道癌の術後化学療法(シスプラチン/5-FU,2コース)は無再発生存率を有意に向上させ術後再発予防に意義があるとしているが、生存率そのものを向上させるという根拠はないともある。
つまり、術後に残っているかどうかわからない癌細胞に対して行うこの治療は、やらない場合と比べて生存率は変わらないが再発を遅らせるというだけのご利益しか無いとのことで、 このことは、度々お世話になっているケン三郎先生の昨日のブログにも書かれてある。

梅澤先生のブログにも述べられているように、術後補助抗癌剤治療には乳がんや子宮ガンには相当な効果を示すエビデンスがあるが、残念ながら食道、胃や腸では充分メリットがわかるエビデンスが無いようだ。

しかし、彼女の場合、癌細胞を残存させたかもしれないという大変な手術だったので、体力回復後、少しでも存在が疑われるマイクロメタを早期に叩くため強力なプロトコルの術後ケモ療法を覚悟していた私たちは、タキソテール、シスプラチン、5-FUの3剤で1クール5日間で行う通称DCF(TCF)療法に進んだのだった。
国立ガンセンター東病院では、シスプラチン、5-FUの2剤だったのだが同じレジメンにタキソテール(別名ドセタキセル)が初日だけ増えるだけであったし、タキソテールは、原料がイチイ科の植物で・・・と調べてあった(植物なら身体に優しいと思っていた)ので、副作用も東病院の頃と同じくらいと高を括っていた。

投与2日目、早速彼女は副作用(吐き気)のため食事中止となり腹痛もおこり3日目には吐き気と腹痛の他、上半身全体が痛いと訴えるようになった。
5日目、抗癌剤投与が終わると6日目から白血球が日毎に2800→1000→800→1000と落ち込んだのでその間GCSF(ノイアップ)を皮下注射で4回投与してもらい、3800→10900と持ち直したのだった。
(このGCSFができてから抗癌剤治療が、随分やりやすくなったそうだが、その威力には驚きだ)
結局、1クール5日間を含めて約20日間かかり退院したが、このころタキソテールの副作用でついに激しい脱毛が始まっており6月中旬には9割位脱毛していた。

このケモ療法が直接影響したかはわからないが、
彼女は退院してから1週間経った6月上旬のある未明に突然、呼吸苦と胸痛を訴えたため、順天堂に緊急入院して1週間ほど、各種検査を行ったが原因を特定できなかった。
癌性心膜炎を起こしたのではなどといろいろ心配したが、症状が回復したので退院したものの、もう1クール予定していたケモ療法は中止となり、さらにその後考えられていた経口抗癌剤での術後補助治療も取りやめになったのである。

結果的に1クールの術後補助抗癌剤治療のあと、経過観察に入ったわけだが、
根治的CRT、サルベージ手術、術後ケモと全てやったため、重篤な合併症は起こしていなくとも嚥下障害は残り胸部の圧迫感や体力低下、またそれに起因する鬱などが、現在までも続いており、再発を逃れながらこれら術後の不定愁訴と闘うというある意味新たな問題を抱えることになったのも事実である。

この胸部の圧迫感というのは、具体的には胸に鉄板が入っているような苦しさと本人は言うが私の推測では、手術で肋骨などの神経に触ったり或いは切ったりしていることからくるのではないかと思うのだが間違いであろうか。

また、最近の緩和医療の解釈が必ずしも終末医療のことだけではないようで罹患した時から緩和医療も始めねばならないとあのがんセンターのサイトには書いてある。

であれば、心療内科などの出番ではないだろうかと考え、次にとった行動について次回は書きます。

-次回に続く-

注:このブログで述べられる筆者の意見や提案は、あくまで私たちが患者として体験してきた事やネットや書籍で知り得た事をもとにしているに過ぎないものであることをお断りしておきます。

テーマ : ガン治療 - ジャンル : ヘルス・ダイエット

EDIT  |  09:36 |  食道癌  | TB(0)  | CM(7) | Top↑

Comment

おそらく根治的CRT-サルベージーDCFは現在考えられる
最強の治療だと思います。手術を2,3回続けてうけるような
ダメージかもしれません。多分、そこまで行き着かない人
も多いですし、データも未知数、これからの治療をうける
人にいい道しるべとなるといいですが。。癌をどこまで
たたくかはとても難しいです。治療を頑張った分だけ
のご褒美はきっとあるとおもいます。
ケン三郎 | 2008.02.13(水) 01:49 | URL | コメント編集

●コメントありがとうございます

そんなに、ハードな治療だったとは・・・。

本人は、治療中、手術後しばらく痛みを訴えるくらいで放射線や抗癌剤の副作用についてはあまり苦しさを言いませんでした。
たぶんある程度は我慢していたのだと思いますが、ご褒美をたくさんあげてもらいたいと願っています。
雄三 | 2008.02.13(水) 17:19 | URL | コメント編集

手術だけでは、根治がむずかしい癌を
ケモラジをやって小さくしてから手術すれば
もっと成績があがるんじゃないか?という
考えもありますから、その是非を問うのは
難しいのですが。
最近、けいゆうかい札幌の細川先生がいい成績をだしている
ようでしたので、ケン三郎も勉強します。
奥様よくなるといいですね。。
ケン三郎 | 2008.02.15(金) 00:00 | URL | コメント編集

●はじめまして。

はじめまして、どうぞよろしくお願い致します。

本当に、大変な闘病を夫婦でご一緒に頑張って来られたご様子が、痛いほど伝わってきます。
真面目に、真剣に取り組んでおられて・・・僕なんか、お恥ずかしい限りです。

うまく言えませんが、再発の恐怖は、3年経過した僕でも、毎日あります。
夢で魘されることも度々です。
しかし、ガンの宣告よりも、息子の事故死や、娘の病気や離婚など・・・
これでもか!って程の厳しい試練が数々と襲ってきました。
自分の事を真剣に悩む暇が、無かったのが、結果的に良かったのかもしれません。
食べられない食事は、バルーン拡張やブジーをされたと思って、少し大きな物を飲み込む訓練を自分でやりました。度々、遣えて救急車で病院へ搬送もされました。
お蔭様で?今では、普通の食事がみんなと同じ量食べられるようになりました。
仕事は、バリバリとはいきませんが・・・  Xデーを、休んで待つわけにはいきませんから、動ける間は、無理しても頑張ろうと思って、フルタイムで職場復帰しております。4月で2年が経過します。
そんな僕ですが、一喜一憂せずに、一日一日を真剣に生きて来て、結果3年を経過したような気がします。
キーワードは「焦らず・諦めず」です。
何の参考にもならないかも知れませんが・・・  僕が一日でも長く生きて、後ろに続く食道ガン患者の皆様の羅針盤となれるように頑張ります。
どうか、奥様の支えになってあげてください。
応援しています。
室川武男 | 2008.02.16(土) 11:25 | URL | コメント編集

●女性の食道癌

ケモラジ中はいつも「このプロトコールは男のためのものだ」といつも腹立たしく悲しく思っていました。私の場合放射線後の食道炎も化学療法による吐き気などもとてもひどかったからです。手術の方がずっと楽だと思ったぐらいでしたから。だから同じ女性でありながら術後に重ねての化学治療をなさった奥様のつらさは想像ができるだけにその壮絶さに息を飲みます。その上体重が私よりもずっと軽いですよね。私も術後に背中がいたくなったりしましたがその時は筋肉がなくなったことも理由の一つだろうと言われました。

食べることについては私の場合残念ながら普通の人の1/2から1/4のペースと量です。何度も拡張をしてもらいましたが詰まるのは仕方がないようで、最近は現実を受け入れて、所謂ソフトウェアーのバグフィックスでいうワークアラウンドで迂回しながら生活をしています。

術後の生き方については自分自身が二つの末期癌から生還した癌科医が言った癌サバイバーのための「希望の処方箋」が私の今のバイブルです。
1。小さな嬉しいスケジュールをずっとつくっていくこと。
2。家族のものとは毎日を最後の瞬間だと思って真剣な会話をかわすこと。
3。自分のできる範囲で人の為になることをすること。
4。何か新しい趣味を治療後に始めること。
5。治験でも何でも新しい治療を受けること。

私は手慰みですが水彩を始めました。1時間ぐらいでできる小さな作品ですが、何もかも忘れて自然と一緒になれる時間がとても効果的な気がしますし、それを通じて広がって行く新しい世界がとても興味深いです。

もちろん咳がひどくなったりすると「もしかしたら?」と思いますし、仕事でストレスがあると「これが原因でまた再発があるかも」「なんて馬鹿なことをしているんだろう」と心配することもあります。レストランや家のトイレでせっかく食べたものをげろげろ出してしまって悲しくなることもあります。でも生きている訳ですからストレスのない生活がある筈はないし、少なくとも味わうことはできる。もっともっと苦しい思いをしているがん患者、難病患者、精神疾患者、家族のいない人などいるわけですから。

結局は室川さんの「焦らず、諦めず」であるのだろうと思います。

kuwachann | 2008.02.17(日) 00:01 | URL | コメント編集

●コメントありがとうございます

室川さん、kuwachannさん

長文で真摯なアドバイスありがとうございます。
お二人とも実体験者としてのお言葉だけに、説得力に溢れた貴重なコメントの数々は大変勇気づけられます。

今後、何かありましたら直接皆様のブログにご相談に(泣きつきに?)参りますので宜しくお願いします。
雄三 | 2008.02.17(日) 19:56 | URL | コメント編集

●管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
 | 2008.02.19(火) 22:37 |  | コメント編集

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